くじらコース
2013年9月配本

つきのオペラ

著者など:ジャック・プレベール 作/ジャクリーヌ・デュエム 絵
【定価】1602円/至光社

お月さまの大好きな少年ミシェルの言葉に託して、夢のないおとな、戦争の絶えない地球文明への批判が語られる。ファンタスティックな絵が魅力。(楽譜つき) 内藤濯/訳

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ku201309

最後のページに、月の住人たちの言葉が書かれています。「この地球が新 しい地球になったら、また遊びに来るからね」。奇妙な内容のこの絵本の秘 密が、この最後の言葉に集約されているように思います。

人間の世界には、苦しみや、悲しみや、傷つけあうことがありますが、そ れに心を覆い塞がれることなく、美しい部分を眺めるならば、もっと新しい 世界に生まれ変わることができると言っているのです。著者の詩人ジャッ ク・プレベールは、その理想の世界を、月の光の中に想定し、世界の美しさ を見ることのできる少年を登場させるのです。

人生は、本当は神の祝福に満ちているということを、月の光に照らされな がら思い出しなさいと言っているのです。きれいなお月さまを子どもと一緒 に眺めるという体験をしてからこの絵本を読めば、この絵本の不思議な雰囲 気がもっと身近なものになることでしょう。

細井 保路
逗 子カトリック教会司祭


○この絵本の原作はフランスです。原作者のジャック・プレベールはシャンソン「枯葉」の作詞者でもあります。画家のジャクリーヌ・デュエムは50年代「ELLE」の挿し絵画家としても活躍しました。訳者は「星の王子さま」を名訳した内藤濯氏です。
○詩的で幻想的なおはなしです。月の世界の素晴らしさに魅せられ、本当は月の住人だと思い、いつか月に帰りたいとねがう少年。プレヴェールとクリスチァンヌ・ベルジェ作曲による綴じ込み楽譜も付いています。
○次回10月号は『さるのオズワルド』です。お楽しみに!
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